ギャラリーのおわり

ギャラリーのおわり

地主さんが変わることに伴い今年の9月で京都にあるubeful galleryというこの施設を終えることにしました(ubefulは続きます)。2011年にオープンしてから7年。その1年前から他の名前でも運営していたので全部合わせると8年の月日をこのスペースと共に過ごしました。

ubeful galleryという名前でギャラリーを始めたとき、僕は21歳で思い返すとまだ思春期を過ごしていたように感じます。(今もまだそうかもしれません汗)

いろんな展覧会を開催しましたが、どれも思い入れがつよく、その人、その展覧会らしさを自分なりに精一杯考え、抱えた水は一滴もこぼさないような気持ちで運んで展覧会をつくりたいと思っていました。そして必ず初めての工夫を入れてみたいと思っていました。できるだけ無駄を省いてキレイに陳列したり、時には夜の20時〜4時の自然光だけで展示をしたり、みずみずしさを探しながらジオラマのような場を作ったりしました。いろんなことをしましたが、それらのすべては絵そのものがもっと生き生きと人に伝わってほしいという一心であり、その思いは今も変わりません。

今一緒に過ごしている作家さんたちともこの空間で出会い、繋がっていきました。人生で初めて来たギャラリーだったり、作家さんにおすすめしてもらった作家さんは実はこの前展示を見に来られていたり、観覧中のリアクションがなんだか魅力的だなと思っていた方の絵を拝見するととてもすばらしく、その後ご一緒するようになったり、ここでは不思議なつながりを何度も何度も感じました。
以前にもお話しましたが、国内外でいろんな賞も受賞しているこの建物の建築家さんは、僕が昔憧れていたある海辺の家を建てられた方だったり、などなど、ここでいろんな人とのご縁や巡り合わせをもらいました。

設備についても、白い床は汚れやすいため、昔は展覧会ごとに床に這いつくばってあらゆる道具、あらゆる洗剤で端から端までゴシゴシ洗っていましたが、床を白く保つ塗料を独自に調べ、思い切って実験し無事成功してからは年に数回だけ這いつくばればいいようになったのは正直嬉しかったです。笑
あとなんてったって自作の4つのステンドグラス..! 親しい方から親切に教えて頂きましたが、器用さ不足でいかにも素人な出来になってしまいました。でもいざ設置すると非常に馴染み、先生からも空間によく合っていると褒めて頂きました。実は春夏秋冬をイメージしています。順番はバラバラですが、今度ぜひ当ててみてください。

来場者のことでふと思い出すことは
はじめてすぐの頃、ギャラリーに来られる人の多くが「はじめてギャラリーというものに来ました」という中高生〜20代前半の方でした。白い空間と好きな絵の前での無言のソワソワが、こちらにもひしひしと伝わってきました。話しかけると「どうしたらいいのか‥」と戸惑われてたので、じゃあ音楽でもかけましょうか?とか、じゃあ椅子を置こうという風に、だんだんとこの空間としての正しさを探して行ったように思います。

いろんな人が訪れる小さな空間ですので、もちろん全部いいことだらけだったわけでもなく、思わぬトラブルがあったり、僕の落ち度でご迷惑をおかけしたこともあるかと思います。今思うとそれらのことからも多くを学べました。

展覧会の撮影は、会期が終わった翌日、誰も居なくて外が晴れた日にやっていました。その時には設営時や開催中の業務とは違った特別な心持ちで空間と絵を味わっていました。静かな部屋でカメラを持って床に寝そべって空間を撮っていたとき、きらきらとした陽の光に照らされていて、窓から風がふっと吹きました。その目の前に、絵がぽつんとただ在るとき、本当に尊い気持ちになりました。

これからについては、未定です。
このギャラリーを終わらないといけないと知ったとき、ほんの一瞬の寂しさのあと、なんだか嬉しい気持ちになりました。また新しくはじまるぞ!と。
おそらくubeful galleryという名でスペースを構えることは当分ないとは思いますが、今後他の空間を運営するということはひょっとするとあるかもしれません。培ったノウハウとやりたいアイディアは溜まっています。でも、一旦それもお預けにしてたいと考えています。
ubefulは、スペースは終わりますが、それ以外の活動は今まで通り続けるつもりです。作品データを持って、風呂敷画廊ならぬiPad画廊にでもなって、しばらくは外の世界を歩いてみたいと思っています。

ひとつ嬉しかったのは、人と人とのご縁で出会い過ごしたこの空間でしたが、自分から辞めることもなく最後まで好きなまま続けてこれたことは、とても幸運だったと思います。

この夏、ubeful galleryとして、このスペース最後の展覧会があります。 ぜひいらしてください。
い き あ る も の 」。
作家さんの絵と、絵そのものと、これからのことを考えました。

これまで訪れてくださった皆様に、心から感謝申し上げます。

__________________ubeful gallery Kim okko

 

________________________ただいまより